世界最大級の機関投資家はどのような資産配分で投資を行っているのか?

こんにちは、大場です。

投資経験がある方は、ネットや雑誌等で投資関連の情報収集を行って、ご自身に合った投資スタンスでポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)を組んでいると思います。

逆に、これから投資をはじめますという方は、どのような金融商品に投資したらよいのか分からないし、どのようにポートフォリオを構築したらよいのか分からないという状況です。

最初のうちは、低資金で投資信託(複数の金融商品の詰め合わせ)からスタートするのも良いし、株主優待で気に入ったところでも良いと思います。

私たち個人の投資は、自分で好きなように選定して運用することが可能ですが、必ずしも資産が増えるというわけではなく資産が目減りして失敗する可能性もあるので、自己責任でリスクを伴います。

しかし、リスクが伴いながらも失敗が許されないという厳しい状況の中で、集まった資金を運用しているところがあります。

集まった資金とは、私たちが毎月負担している国民年金・厚生年金の保険料の積立金で、これら資金を「年金積立金管理運用独立行政法人」というところが運用しています。

2020年度末時点の運用資産が約186兆円という恐ろしい額を運用しています。

そんなところがどのようなポートフォリオを構築して運用しているのかを紐解いてみることは、今後の投資スタンスにも参考にできる部分があるかもしれません。

年金積立金管理独立行政法人(GPIF)ってなに?

年金積立金管理独立行政法人(Government Pension Investment Fund)は厚生労働省所管の独立行政法人で、日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を行っています。

そもそも、「年金資金って運用されてたんですか!?」と言われる方も多くいます。

公的年金は、現役世代から高齢者世代へ仕送りするという「世代間扶養」が基本なのですが(私たちが支払っている年金保険料が現在の高齢者が受給している年金として支払われている)、今後、少子高齢化が進むと年金が目減りしてしまいます。

社会経済情勢の変動に応じて、給付水準が自動的に調整される仕組みが導入されているのですが、将来も一定の給付を確保するために、あらかじめ保険料の一部を給付に充てずに積み立てた「年金積立金」という部分で運用を行って、そこで得られた収益は年金給付に充当されているんです。

年金保険料を納める支え手がどんどん減っていくことを見越しているので、集まった資金を運用して増やしていくことも必要なんですよね。

GPIFの過去から現在までのポートフォリオ

私たちが納めている年金保険料が将来の為に運用されているのは分かったけど、そんな将来の大切な年金資金となる年金積立金はどんな感じで運用されているのか気になるところ。

ということで、GPIFがどのような基本ポートフォリオを構築しているのか調べてみました。

◆平成18年4月~平成25年6月
国内債券:67% 国内株式:11% 外国債券:8% 外国株式9% 短期資産:5%
目標:実質的な運用利回り1.1%(名目運用利回り3.2%)

やはり国内債券の比重が高く、安全かつ低リスクで運用されています。

この時は、そこまでリスクをとって運用で増やしていこうとは考えていなかったんでしょうね。

思い返すと、人口減少リスクがそこまで言われておらず、経済にも活気があったように感じる時代でしたからね。

この頃の私は、音楽の専門学校を卒業して、バイトをしながら音楽活動に明け暮れており、夢と希望に満ち溢れてイキイキとしていた頃でしたね~(笑)

◆平成25年6月~平成26年10月
国内債券:60% 国内株式:12% 外国債券:11% 外国株式12% 短期資産:5%

大きくポートフォリオに変化はありませんが、国内債券が若干下がって他の部分が上がってきたところを見ると、少しずつリスクをとって運用する動きが出てきた感じがしますね。

この頃の私は、保険会社に入社して営業先へ訪問したりしており、あれからかなりの年月が経ったのか~と思うと懐かしくなります。

◆平成26年10月~令和2年3月
国内債券:35% 国内株式:25% 外国債券:15% 外国株式25%

ここで大きくポートフォリオに変化があり、国内債券割合がガクッと下がり、他の部分にバランスよく配分

されました。

デフレ脱却など、長期的に経済・運用環境が変化し、物価・賃金の上昇が想定されていたので、国内債券中心のポートフォリオでは、年金財政上必要な運用利回り(実質的な運用利回り1.7%)を達成することは困難ということで見直されました。

◆令和2年4月以降~
国内債券:25% 国内株式:25% 外国債券:25% 外国株式25%

年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオを選定した結果が上記の配分となっており、リスク性資産にも投資を行わないと運用益を確保できないという事実を国が示してくれているようにも見えます。

しかし、平成18年の頃と比べると国内債券の割合が本当に低くなりました。

最低限の利回りを確保するためにリスクを取って運用して増やしていくことをしなければ、年金は早々と底をついてしまうということですね。

私たちが老後を迎える時も年金制度が残っていて年金がもらえることを願ってはいますが…けっこうマズイ状況なのかな~と思ってしまいます。

国がこのようなポートフォリオで運用を行うようになったために、リスク性資産への運用を行うようになった投資家は増加したとも言われております。

大きく資産を増やすためには「時間」「原資」「リスク」を大きく取ることが必要となりますが、投資は下がるリスクもあるので、慎重に判断する必要がありますね。

自分に見合ったリスクを把握すること

さて、私たちの年金資金がどのようなポートフォリオで構成されてきて今に至るのかは何となく感じ取ってもらえたと思いますが、じゃあ、自分たちはどのようにポートフォリオ構成したらよいのか…

それは、投資する方々の資産状況とお金に対する考え方で大きく変わってきます。

国は、外国債券や外国株式等のリスク性資産を大きく取って必要な利回りを確保しようとしていますが、このポートフォリオを構築するのに大勢の専門家がしっかりと携わって常に動向を監視しています。

自分でポートフォリオを構築して常に監視するのは、仕事もプライベートもあって大きく時間に余裕がない人たちは、なかなか難しいと思います。

なので、投資信託を利用して運用をプロに任せるという方法もアリだと思います。

商品によって構成されているポートフォリオは様々なので、自分が望む運用利回りかどうか、そのためのリスクはどのくらいで許容できる範囲なのかどうかが判断材料になってくると思います。

必要資金は低リスク商品で運用を行い、余裕資金で高リスク商品で高い運用益を目指してみるのも良いと思いますが、そのためには、まずライフプラン(資金計画)を作成してお金の状況を把握してから取り組むことをお勧めします。

投資は、ご自身の状況をしっかりと把握することから始まります!

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